転回と母音区間の修飾
転回
音母列は、形態素単位で転回と呼ばれる操作を行うことができます。 転回とは、体系化された音母列の音位転換です。 音母の配置が変わることで、生成される音形は全く違ったものになります。
転回形 | 1 | 2 | 3 | 音形 |
---|---|---|---|---|
前面 | Y | A | L | hto |
正面 | A | L | Y | yhë |
後面 | L | Y | A | lha |
表に示したように、元の形(正面)から見て、音母の位置を列の中で進行方向に一つずつ送った形を前面、後ろ向きに送った形を後面と呼びます。
転回の制約
転回を行うには 3 種類の形が区別できる必要がありますが、そのためには 3 単位以上の音母列が必要です。 したがって、3 単位より短い列(で表される語)では完全に表現することができません。 これを形態論的に補うために、接合子と呼ばれる機能語が存在します。 詳細は小辞の項を参照してください。
母音区間の修飾
自然な母音
修飾を経ない段階で、すなわち音母列から一次的に導き出される母音のことを特に自然な母音と呼びます。
もしこの区間に半母音が存在し、さらに自然な母音がその半母音を吸収する場合、この区間には半母音の代わりに長音を構成することになります。 この規則は自然な母音のみに適用されます。 修飾によって母音が変わった場合、その半母音はまた半母音として構成されることになります。
循環
循環は、値によって母音の音価に変更を加えることです。 循環の議論では、音韻論における8つの母音の間に以下の関係性を想定します。 この二つの輪はそれぞれ非円唇・円唇の母音を概ね調音位置によって並べたものになっています[1]。
i → o u → ö ↑ ↓ <=> ↑ ↓ e ← a ë ← ä
この図に基づき、正位(無標)であれば自然な母音のまま、順行位であれば矢印の一つ先にある母音、逆行位であれば矢印の一つ前にある母音、余剰位であれば対角線上にある母音、さらに反転位であれば反対の輪の同じ位置にある母音を実際に構成することになります。
介入
母音の前にいずれかの半母音を挿入することです。 構成される半母音が j, v, ý, y の場合の値をそれぞれ第一・第二・第三・第四介入と称します。 無標では何も構成しません(無介入)。
加重
母音区間に長音性を与えることです。
アクセント
品詞区分によるアクセント(高さ値)の付与も修飾の一種として考えられます。
- トルコ語における母音立方体のようなものです。 ↩