束縛子と照応子の用法

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表で数字が一致している束縛子と照応子は、互いに呼応しています。

種別第一第二第三第四第五第六第七第八
束縛子-i (J) (U) (Y)-o (L) (OO)-u (II)-e (EE)-a (AA)
照応子nj (OJ)kz (IU)tx (EY)yh (AL)r (LO)m (OI)v (IE)hc (JA)

束縛子の辞書形は便宜的性格が強いものです。基本的に音母表記を参照してください。

束縛子

束縛子の機能は、後の発話で同じ対象を(照応子で)指すことができるよう、ある語(や句)に印をつける(束縛する)ことです。 一度束縛子が用いられると、次に同じ束縛子が使用される、もしくは明らかに文脈が途絶えるまでの間、呼応する照応子は束縛子の標示した語句を指すことになります。

(例)

多くの場合、束縛子は語単体に下接して使うことでその語を束縛します。 語が句に含まれる場合は、その句の主要部または先頭の語に下接することで、その句の一部または全体によって表される対象を束縛したものと解釈されます。 ただし、連合の要素である各句の中で使用された束縛子の効果範囲は、最大でもその句単体の中に限定されます。

誤解の余地がない厳密な表現が必要になる場合には、束縛すべき部分を冠詞句で包み、冠詞に束縛子をつけることができます。

(例)

照応子

照応子は、それまでの発話で束縛子によって束縛された同じ対象を再度指し示すために用いられます。 再現するのは元の語の「意味」のみです。すなわち、束縛子が付けられていた語(句)が示していたパラダイム()は引き継がれません。 照応子の原形は、必ず存在格実質近接式独立級であるようにふるまいます。 照応子が置かれた場所で適切な文法的役割を果たすためには、改めてその語形を変化させる必要があります。

(例)

照応子の質

照応子の基本的な用法は、実質で用い、呼応する束縛子の標示する対象を指すものです。 つまり、束縛された語がある人物のことを指していた場合、その同じ人物を指します。

(例)

一方、虚質で用いると、束縛されたその語句をその位置に再現する、文脈指示用法として解釈されます。 これは、束縛元が「人」という語であれば、その「人」という語をその位置で再度使用する代わり(元の語と同じ人物を指すとは限らない)として照応子が入るということです。

(例)

第八照応子の特別用法

第八照応子は、文字通り第八束縛子を受ける照応子としても使われますが、呼応する束縛子を持たない虚辞としてもよく用いられます。 ある位置を埋める具体的な対象がない時に代用して「~すること」「~なもの」といった意味を表します。

(例)

また、会話相手の発話内容を漠然と指して、それを受けることができます (相手が発話中に束縛子を使用した対象と同じものを指す場合は、それに呼応する照応子を使用するのが一般的です)。

(例)